6次産業化中央サポートセンター

日本一のお茶の生産量を誇る南九州市知覧町。 迷いながら踏み出せなかった1 歩を支援チームと共に。/株式会社知覧心茶堂代表東垂水良世さん

「安心・安全」にこだわった本格的な生産

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鹿児島県薩摩半島の南部に位置する知覧町は、市町村レベルで日本一のお茶の生産量を誇り、見事な茶畑が広がります。しかし、ペットボトルのお茶が浸透し、この20 年茶葉の市場価格は右肩下がりで単価は半分以下になりました。そんな中、株式会社知覧心茶堂は、知覧町に新たなお茶文化を根付かせようと、緑茶だけでなく紅茶の生産にも力を注いでいます。平成24 年に総合化事業計画の認定を取得後、平成26 年には紅茶専用工場を建設し、「知覧産」「紅茶に適した品種」「安心・安全」にこだわった本格的な紅茶生産を始めました。

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株式会社知覧心茶堂は、会社を設立した当初は全国の百貨店をまわり、お茶の対面販売を中心に事業をしていましたが、時代の流れから百貨店の閉店が相次ぎ売上が下がってしまうという壁にぶつかります。この苦しい状況を打開しようと、専門家に相談したり、新商品の企画や商談会への出展などを行うも、なかなか実際の売上拡大にまで結びつく機会には恵まれませんでした。そんな中、鹿児島6次産業化サポートセンターや農政局の方から、6次産業化エグゼクティブプランナーの制度を紹介してもらい、何か新しいきっかけになればと思い、支援を受けることにしました。

支援チームによる未来戦略スタート

支援を受けるようになると、エグゼクティブプランナーの仲野真人氏を中心に、支援チームとして鹿児島県、鹿児島6次産業化サポートセンター、農政局、中央サポートセンターの方が集まり、毎月充実したミーティングが行われ、「株式会社知覧心茶堂」の未来への戦略作りが始まりました。東垂水さんはこれまでひとりで仕事をしてきたため、常にどこか自信がなく迷いながら歩んできたと言います。自社の現状について振り返ったり、販売戦略を文字にしてまとめることなど、なかなか取り組めていなかったのですが、エグゼクティブプランナーの助言と分析により「株式会社知覧心茶堂」の直面する課題や解決策が可視化されていくことで、だんだんと自信がついていきました。

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「GABA 茶でやっていこうという、知覧心茶堂の方向性が明確になりました。武器が持てたんです。」東垂水さんは10 年前にGABA 茶を開発するも、なかなか売り上げに繋がらず悶々としていました。GABA とは、天然アミノ酸のひとつで、興奮を鎮めたり、リラックスをもたらしたりする効果があり、ストレス社会における需要、スポーツ選手などからの関心が年々高まり、10 年前に比べ今ではGABA を含む商品も多く出回るようになりました。お茶の機能性を追求することで新しい市場を開拓できるはず・・エグゼクティブプランナーの仲野さんからのアドバイスに背中を押され、今こそGABA 茶を積極的に売り出していく時なのだと実感できたのです。

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商品の戦略が決まると、次は販路の拡大に向けた実践です。今までアポイントさえ取れなかった営業先へも、エグゼクティブプランナーや地域プランナー、中央プランナーの方の力を借りることで商談の場が実現しました。「商品について話せるってことが本当にありがたかったですね。しかも商談の場でどうしたらもっと売れるか、先方も一緒になって考えてくださいました。」商談の場を経て、FCP シートや営業ツールの見直しを行った上で、地域プランナーからは地元の大手スーパーのバイヤーさんを紹介していただき、すぐに取引が決定!さらに、GABAの効能からスポーツ市場に展開できるのではという仮説を立て、実際にネットワークをもつ中央プランナーの紹介により、スポーツ界への入り口として「アスリート食堂」との繋がりを作ってもらうなど、エグゼクティブプランナーを中心に、多方面からの支援を受けることで確実に販路が広がっていきました。すでに約20社との商談を経て、数社との取引が確定しています。「エグゼクティブプランナーの支援を受けはじめてまだ半年ですが、大きな手応えを感じています。」

GABA 茶にかける、新しいお茶の販路

知覧町には約30 もの製茶工場があります。この先の目標としては、GABA 茶を大量生産できる方法を確立し、地域でもGABA 茶に取り組む人を増やして組合を作りたい、とおっしゃる東垂水さん。まずはエグゼクティブプランナーを中心にした支援チームによって繋げてもらったご縁を大切にしながら、株式会社知覧心茶堂がGABA 茶の販売実績を作ることがそのための第一歩になる、そして、支援を通じて立てた戦略を、自らが実行していくと意気込んでいます。

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