6次産業化中央サポートセンター

東日本大震災後、 南相馬を再生しようと取り組む。 売上の85% を占める「米」に注力した 6次産業化へ挑む。/株式会社紅梅夢ファーム代表取締役佐藤良一さん、事務局員鈴木ふみかさん

ふるさと南相馬の再生に取り組む

福島県南相馬市の南部、小高区に株式会社紅梅夢ファームがあります。紅梅夢ファーム代表取締役の佐藤良一さんは、東日本大震災後に避難指示が出され、荒れ果てていった南相馬のまちを再生しようと、稲作をはじめとした農業に取り組んでいます。耕作放棄地を借り受け、農業を行うことで南相馬に緑と活気が戻り、圃場を拡大することで帰還者の雇用にも繋がります。震災後に生産しはじめた菜種は、外部へ加工を依頼し「菜種油」として販売され、ふるさと納税の返礼品としても喜ばれています。

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今は手いっぱいで外部へ任せきりの加工も販売も、いつかはすべて自社で手がける製品を作りたいと、菜種を使った新たな商品化を思い描いていました。その矢先、役所から6次産業化の支援制度を勧められ、これもひとつの手かもしれないと思い、支援を受けることに決めました。エグゼクティブプランナーの宮崎秀和氏の力を借り、紅梅夢ファームは経営状況や目前の課題にじっくりと向き合い、優先順位を整理する機会を重ねていきました。

特化したのは、売上85% を占める「米」

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水稲、大豆、菜種、たまねぎ、紅梅夢ファームの手がける作物はいずれも販売先が特定少数のため、リスク分散のためにも自社でコントロールできるものが必要だということが明確になっていきました。そして、目を向けるべきポイントは、温めていた菜種の新商品作りではなく、売り上げの85% を占める「米」であるという解決策が導き出されました。生産の主体である「米」を自社でコントロールできるよう手掛けることで、販路に対するリスクを分散し、売り上げとしても大きな成果が出るという戦略です。その一つが、紅梅夢ファームの米を、自社ブランド米として自社でパッケージし、販売まで手掛ける方法です。

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支援を受け、引き出された解決策は当初想定していなかったものでしたが、佐藤さんは違和感なく受け入れられたと言います。「宮崎さんが真剣に私たちの将来について考えてくださっているのがわかったから。」米に注力していくことが決まり、加工施設の目処も立ち、今後は支援を通じて練ってきた計画を実行に移していきます。エグゼクティブプランナーをはじめ、福島地域産業6次化センターや南相馬市役所の方々とのミーティングには、地元の農業高校を出て入社したばかりの鈴木さんも毎回同席しました。佐藤さんは「米」に注力した新たな戦略を、社内で最も若い鈴木さんに託したのです。「いつか6 次産業化にも取り組むだろうとは思っていたけれど、こんなにすぐだとは思いませんでした。」と笑顔で話す鈴木さん。突如始まった取り組みに戸惑いながらも宮崎さんから出される課題に対し、資料を作り次のミーティングでプレゼンするまでに成長していきました。

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鈴木さんは「難しいこともありましたが、細かく教えてもらえてとても勉強になりました。6 次産業化が現実的になりました。」と支援について振り返り、積極的に関わっていこうという意識が芽生えたといいます。紅梅夢ファームは若い世代の人材育成にも力を入れており、研修等にも積極的に参加させることで農業の知識や技術はもちろん社会人としての基礎も学んで欲しいと考えています。

さらなる発展に向け、生産効率向上へ

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佐藤さんが小高で営農を再開されて4 年。周囲にも農業法人が数社立ち上がりました。今後は連絡協議会を作り、エリアごとに分業することで生産効率を上げ、皆で南相馬の活性化を目指したいという佐藤さん。そのためにも自社における生産規模の拡大、設備や人材の確保などに努めます。佐藤さんは「エグゼクティブプランナーという伴走者がいてくれたことはとても心強く、若い社員にも大きな刺激になりました。」と言い、取り組みに意欲を見せる鈴木さんは、米の自社製品化に向けて品質管理についての知識を深めたいと意気込んでいます。