6次産業化エグゼクティブプランナー/ホライズンコンサルティンググループ株式会社庄司和弘さん
目指すのは、支援先の自走力強化
宮城県を中心に経営コンサルタントとしてご活躍の庄司和弘さんは、起業や人材育成、商品開発、販路拡大など豊富な支援経験をお持ちで、東日本大震災後には東北の食の価値を高めるための事業として、輸出も手がけ、その実績から、6次産業化エグゼクティブプランナーとして活躍しております。支援において心がけていることは、支援する側とされる側が平等の立場であるということ。そして、支援される側が自ら考えて決断し、自走できる状況をつくること。そのためにはまず、コーチング手法を取り入れ、傾聴の姿勢から、本質的な課題を見つけ出しどこを目指すべきかビジョンを作った上で、道筋を整理することが自身の役割であるという庄司さん。
今年度支援に携わった案件では、「経営管理体制の構築」という要望に対し、ヒアリングを重ね「従業員のモチベーションアップと次世代を担うリーダー選定」に焦点を絞り、支援を行いました。次の 10 年に向けて中枢となる従業員を集め、アドバイスだけをするのではなく、ここでもコーチングを取り入れ、自ら気づきを得るワークショップ形式でビジョンの整理から取り組みました。
初回の会議では、何のために集まったかわからず戸惑いがあり、手探りの状況でしたが、徐々に彼らの意識や積極性は変化し、自分たちで問題点や課題を発見するようになりました。最終的には定めたビジョンに向けての動きを従業員自ら提案し、さらに「カイゼン」に向けた行動を実行するまでに成長しました。
これからの6次産業化に向けて
人の価値観は多様化し、需要よりも供給が上回っている今、商品には付加価値が必要で、生産者の顔が見える商品作りが6次産業化の代表例となっています。しかし6次産業化はあくまで手段であり、事業者にとっての目的になってはいけません。そのためにも事業者はビジョンを明確にすることが何より大切です。また、支援者にとっても同じことが言えます。一時的な効果ではなく継続的に自走できる体制を整えるには、ビジョンの明確化が欠かせないのです。そして、たとえ商品が生まれても、人や組織の意識改革・行動変容が伴わなければ商品を活かすことも課題解決も難しく、6次産業化の成功とは言えません。今後の6次産業化の発展に向けて、「モノづくり」だけではなく、「ヒトづくり」、そして「組織づくり」まで取り組むことにより、経営全体がブラッシュアップされ、企業の成長、すなわち付加価値の向上に繋がっていくと思います。